静かに増える連泊の客
連泊に積極的に取り組もうとしている温泉地の旅館経営者に、連泊の状況を聞いてみた。正直なところ、あまり集客はできていないと思っていたので期待はしていなかった。ところが2月に数千人の利用があったと聞いて驚いた。
連泊といっても3連泊で、費用は決して安くはない。商品造成は格安を売り物にしている旅行会社だったが、人気が高いため4月以降も3連泊の商品を継続して販売していくそうだ。
連泊も1人だと費用がかさむので、ほぼ定員ベースに近い利用なのだという。連泊でその旅館を拠点とし周辺の観光地を訪ねまわる人が多く、旅館の社員が情報集めに奮闘したとも聞いた。
知人にこの話をすると、連泊はあくせくしないで心が安らぐのでいい、というお客さんが増えていると言っていたし、あるコンサルタントも「今、連泊の需要は増えている。ただ販売と情報発信をうまくしないと失敗する」と話していた。
まだまだ1泊2日が主流とはいえ、目につかないところで連泊の動きは着実にあるということだ。
ある旅館経営者は旅館が衰退している原因として「サービスとシステムが画一的で、お客とミスマッチを起こしている」、「1泊2食、和室、懐石料理という固定概念で商売をし過ぎ」という2点を指摘していたが、その通りだと思った。
新しい連泊の動きも旅館が衰退する原因の2点から脱却しないと長続きはせず、ホテルや食事施設にとられてしまうのではないか。需要を育てることを旅館業界は苦手なような気がする。
(トラベルニュースat 08年3月25日号)