旅館業界の全国大会で
全旅連の佐藤信幸会長は「旅館業界の会合や総会は旅館で」と日ごろから話しており、このほど山形県で開いた全国大会の懇親会は自らの旅館、日本の宿古窯で開いた。
料理も全国から集まってくる旅館関係者をもてなそうと、月山の細筍焼きや村山のじゅんさいポン酢ジュレ、米沢の冷汁などの「山形づくし九重盛り」や米沢牛のステーキ、山形名物芋煮など山形県の素材を全面に出したもので、参加者を喜ばせていた。
締めのデザートは、ちょうどシーズンに入ったさくらんぼを使ったムースで、これぞ旅館料理、といった内容だった。従業員や関係者も「いかに山形県で、いい思い出を持って帰っていただくか」に終始したような懇親会だったといっても過言ではない。佐藤会長は何度も「旅館の良さをアピールして減少している宿泊客を増やそう」と呼びかけていたが、料理やもてなしに関しては、参加者は参考になったに違いなく、それぞれの地域に帰って宿泊客を増やす努力をしてもらいたい。
ただひとつ心残りだったのは、大半の参加者が各旅館に泊まりながら「1人部屋」を望む声が多かった点である。宴席で騒いで、寝るときは1人で自由に、という気持ちはわからなくはない。しかし、全国の旅館は1人ないし2人客のリクエストが多く、定員稼働しなくて困っているのではないか。
定員で泊まってこそ楽しい、旅館らしさを味わえる―。そういった提案ができる場が全国大会であれば、さらに有意義な大会になるのではないか。
(トラベルニュースat 08年6月25日号)