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宿泊する施設が旅館だ

08/07/10

観光白書2008によると07年度国内旅行による国民1人あたりの年間宿泊数は2・47泊で、9・2%減だった。06年度も減少していたので、2年連続で減り続けていることになる。政府は国民の年間宿泊数を4泊にする計画を立てているが、実際は計画と離れていくばかりだ。

しかし旅館を利用する日帰り客は増加傾向だという。これは昼食と入浴をセットにし、旅館を利用してもらおうと働きかけてきた、ひとつの結果ではないだろうか。昼食と入浴をセットにして泊まらずに旅館で過ごすという新たな客層を広げ、これまでにない収益を生む取り組みを始めた点では一定の評価はできる。

ただ、果たして泊まらずして旅館本来の魅力は利用客にどこまで伝わるのだろう。旅館経営者と幾度となく研修会や総会、視察会で様々な旅館に行くが、筆者がどうしても外せない仕事があって宿泊できない場合、「旅館は泊まってみないと何がよくて、ダメなのかわからないよ」と旅館経営者自身が"旅館宿泊必要論"を口にしているではないか。

筆者自身も旅館の良し悪しは泊まってみないとわからない、と思っているが、悪い場合はともかく、泊まってもらってこそ旅館が持っている個性が客に伝わり、また来たいと思うのではないか。その意味では個性が魅力になっていない旅館は論外ということになる。

地域差があるので一概には言えないものの日帰り客をつかむ努力より、泊まらせる、滞在させる方に知恵を働かせた方が旅館業界の将来のためにもいい。広辞苑によると、旅館とは「旅行者を宿泊させることを業とする家」とある。

(トラベルニュースat 08年7月10日号)

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