着地型観光の堺モデル
大阪府堺市で着地型の観光が人気を集めている。と、書くと「堺に何があるの。何を見に行くの?」という返答が大半だと思う。しかし堺観光は、2006年に政令指定都市になり、観光部ができてから大きく変わってきた。
司馬遼太郎も「街道をゆく」の中で堺を訪れた際、繁栄を築いた堺の片鱗を見ることができない、市民も関心がないだろう、というようなことを書いている。しかしながら、堺には世界遺産登録を目指す仁徳天皇陵をはじめとする古代古墳群から織田信長や豊臣秀吉、徳川家康と名を知られた戦国武将や茶道の世界で確固たる地位がある千利休、歌人の与謝野晶子などに関連する史跡が数多く残っており、歴史文化の宝庫であるといっても過言ではない。
古くからの菓子店やお香店、刃物関係のお店もあり、そういった観光資産を行政や大手旅行会社の各支店の支店長らが協力して、地元住民と関わって魅力を掘り起こし、商品化している。「観光」という位置づけさえもなかった堺にわずか1年半ほどで、どれほどの数の観光客が訪れるようになったことか。
詳しいことは次号の11月25日号で紹介するが、文化、食、体験など様々な案件を堺観光コンベンション協会に問い合わせると、バスの手配から立ち寄り施設との交渉、観光ガイドの手配からツアーのコース組みまで行う徹底ぶりで、こういった取り組みは「堺モデル」と位置づけていいだろう。着地型商品を造っても、どのように販売やPRをしていいのか悩んでいる観光協会やNPO法人は堺モデルを研究してもいいのではないか。
(トラベルニュースat 08年11月10日号)