どうなる、かんぽの宿
日本郵政がオリックス不動産に全国のかんぽの宿70施設を100億円で一括譲渡することに対して、鳩山邦夫総務大臣が待ったをかけて話題を呼んでいる。小泉政権時代に郵政民営化に大きく関与していた宮内義彦氏が率いるグループ会社、オリックス不動産が一括譲渡を受けることはマッチポンプのようで納得がいかない、選定が不透明だというのが、鳩山大臣が反対している理由とされる。
旅館団体でも「かんぽの宿は1館40億円から50億円をかけた施設で、70施設の総額が2800億円といわれ、利用客も300万人に達する。そういったものが100億円で一括譲渡され自社で運営するなり、他施設に売却されてしまうと、地域の旅館ホテルが圧迫されることになる」と、反対の陳情書を国に提出した。
各地の温泉地でも「国が決めたことだ。覆ることはない。そんなことよりも自分たちでできる温泉地づくりを目指すべきだ」という意見もある一方「一括譲渡ではなく、各温泉地の観光協会や旅館組合に指定者管理制度などで任せばいい。すでにそういった形で公営の施設を運営している旅館組合も存在する」と、反対論をぶちまける。
表現は適切ではないかもしれないが、経営不振で潰れるべくして潰れないといけない宿泊施設が安く買い叩かれて、格安の施設として復活し、値下げを最小限にとどめて頑張っている既存施設の経営を圧迫し、温泉地自体が地盤沈下するかもしれない事態に陥っているなかでの一括譲渡問題。旅館業界はどこまで結束して取り組んでいくのか、今のところ見守っていくしかない。
(トラベルニュースat 09年1月25日号)