旅行会社の大交流時代
今でこそ「着地型旅行」は、地域に根ざした観光素材を掘り起こした旅行の代名詞のようになっており、観光業界で言葉の意味を知らない人はいないぐらい浸透している。
株式会社全旅の池田孝昭社長が全旅協の協業化推進特別委員会の委員長を務めていた10年前、当時の池田さんの口から発せられたのが「着地型旅行」という言葉が使われだした始まりになる。協業化の活動が西日本主体であったこともあり、弊紙も大きく関わり、大分県で開かれた第1回目の国内観光活性化フォーラムでは、当時ほとんどの人が耳にしたことがない「着地型旅行」の意味や考え方を広めるお手伝いをさせていただいた。
今回、静岡で開催された第6回国内観光活性化フォーラムでは、実際に着地型旅行を販売し収益を上げた旅行会社から具体的な事例が報告されたほか、着地型旅行を商品化した「地旅」の大賞や優秀賞、特別賞の表彰式も初めて行われるなど、着地型旅行の普及、推進の総決算といってもいい流れになった。10年前とは隔世の感がある。
今後は「地旅」の流通、販売への第二章へつながっていくことになるのだろうが、地旅を造る側と販売する側のコミュニケーション、ネットワークが、より密接にならないとお客を呼び込むことはできない。また「地旅」商品を販売する側も、そのまま商品を販売するのではなく、自らの知恵と工夫を盛り込まないと収益確保に結びつかないことも今回のフォーラムで実証された。地域の旅行会社が名実ともに協業化することが「地旅」拡大の大きな要素ではないだろうか。
(トラベルニュースat 09年3月25日号)