観光業界の怠慢を反省
JTB常務で国の様々な委員会の委員を務める清水慎一さんは、先日行われたシンポジウムのなかで、旅行需要が伸びないのは「旅行業界や旅館業界の怠慢」と指摘し、今の観光業界に一石を投じた。
ある統計を提示し、国内宿泊旅行に行ってみたい人は増えているのに、実際の参加率は減少傾向にあるのは、旅行客が行きたくなる旅行を提案できていない、「旅行には行きたいが、対象になる観光地、温泉地、旅館がない」と感じている人がいるからではないかと、「観光業界自滅説」を唱えておられた。
「旅行に行かない」理由としては「なんとなく」がもっとも多いそうだが、不況やインフルエンザなどの情報ばかりが露出すると、旅行に出かける人は減少し、構造的な問題にもなりかねないことを危惧した内容が印象的だった。
旅行業界については2003年のイラク戦争勃発時に団体旅行が減ったのはこの戦争があったからと、団体中心の時代が終わった年であったことを認識できず、何の手も打たなかった。旅館業界も02年にリピーターやインバウンドをとらないとやっていけなくなることをわかっていながら、行動しなかった。清水さんは今、この状況だからこそ、消費者の動向を把握し行動すべき、と訴えている。