新興チェーン店の底力
社団法人北海道観光土産品協会がまとめた2008年度の全国温泉所在市町村の入湯人員上位200位と入湯税額によると、入湯人員が100万人を超えたのは30市町で、このうち前年を上回ったのは、わずか8市町だけという結果だった。
トップ10の順位は本紙1面を見ていただくとして、上位10市町のうち入湯客数が増えたのは4市だけという状況で、そのうち2市が1ケタ台だったのに対して浜松市14・6%、加賀市19・3%と2ケタ台の増加だったのには驚いた。というのは浜松市、加賀市いずれの市内にある温泉地が2ケタ台になるような集客をしているとは思えなかったからだ。
特に加賀市においては既存旅館が健闘しているものの、新興旅館ホテルチェーンの台頭が著しいとはいっても、いくらなんでも2ケタ台までの集客は難しいに違いない、と思っていた。
ところが調べてみると、そのチェーン店の旅館1軒と日帰り入浴施設だけで2ケタ台の数字をはじき出しており、新興旅館ホテルチェーンと日帰り入浴施設の集客力は侮れないことを痛感した。既存施設の中には、こういったチェーン店に対して反発する傾向が強いようだが、現実は現実として認めて、それぞれの施設で対抗策というより、利益を生む仕組みを作っていくしか生き残る道はない。
(トラベルニュースat 09年8月25日号)