「泊食明示」で明確化を
旅館の宿泊料金の低価格競争に歯止めがかからない。8千円や9千円どころか、6千円や5千円の料金設定もさほど珍しくなくなってきた。旅行会社も企画旅行であれば昔の業界用語でいう「下駄履き」をしても違法ではないことから、少々驚く料金で仕入れて、販売しているところもあるようだ。
旅館も旅行会社もいくらで販売しようと自由だ。しかし、旅行者にとっては部屋が違う、料理内容が違うといったところで、旅館の料金設定がわからないのだから旅館に対しての不信感は募るばかりで、観光業界にとっていいことではない。
もちろん旅行者も黙ってはいない。低料金で泊まった旅館で料理の苦情を言うのも分からなくはないが、旅館料金についてもっと旅行者に理解を求めないといけない。ちょっとした料理屋で、食事をすると5、6千円はかかる。旅館だと風呂に入って泊まって、食事をしての料金なのだが、あまり理解されていない。支払った料金の料理が出ると思っている場合が多いのではないか。
宿泊と料理を分ける泊食分離があるが、料金を明確化させるという意味で「泊食明示」を提案したい。今、自身がいくらの料理を食べているのかわかれば、料理の苦情は言えなくなるように思うが、いかがだろうか。
(トラベルニュースat 09年9月10日号)