心をつかんだ盆踊り
「トラベルニュースに載っていた『新野高原盆踊り』、よかったよ。お客さんにたいへん喜んでもらった。ありがとう」と、旅行会社の知人からお礼の電話をいただいた。
この「新野高原盆踊り」は昨年の9月10日号「日本再発見」というコラムで紹介した長野県阿南町新野の祭りだ。格好悪い話だが筆者は見落としていて、年初早々この知人とお会いしたときに「あの盆踊り、おもしろそうだからうちのお客様をお連れしようと思って」と言われて、慌てた。そのあとも忙しさにかまけて盆踊りのことはすっかり忘れていたところに、冒頭の電話である。
知人の客というのは舞踊好きな人ばかりのグループだそうで、昨年は富山県の有名な盆踊りをツアーにしたのだが、踊れないうえに人だらけで散々な内容だったらしい。その起死回生とばかりに「新野高原盆踊り」を選ばれたという。
地元の踊り手に関西から来たと話すと、一緒に踊りの輪の中に入れてもらっただけではなく、踊りながら地元の人たちのやさしさ、素朴さに感動して帰ってきた、と知人は話していた。この知人と話をしていていつも思うのは「いかにお客さんに喜んでもらおうか」を考えていることだ。多くの顧客を持っておられるらしいが、今回の電話でそれがなんとなくわかったような気がした。
(トラベルニュースat 09年10月10日号)