鬼怒川温泉再生の序章
栃木県・鬼怒川温泉。現在、地域再生に取り組んでいるが、このほど行ったイベント「月あかり花回廊―序章」は、地域が一つとなって鬼怒川温泉に多くの人たちに来てもらおうという前向きな取り組みだった。
月あかりの下で温泉街を歩き、自然や人のやさしさに触れてもらおうというもので、旅館ホテルのロビーや玄関には造形デザイナーが作った行灯を置いて秋の花や草、木で装飾し、散策途中の階段にお客から応募のあった絵手紙を行灯にして飾ったり、街道のライトアップ、星空の下でのコンサートも行った。
奈良で毎年8月に実施される「なら燈火会」に感動した関係者が奈良まで運営方法を学びに行き、今回の開催に至ったわけだが、「商工会や自治体の人たちの協力を得てイベントの準備を進めましたが、地域にこんなにすばらしいものがあったことをあらためて知りました」と語っていたのが印象的だった。まさに「足下を掘れ、そこに泉あり」である。
こういう表現は失礼かもしれないが、「あの鬼怒川温泉」の温泉街に浴衣姿の宿泊客が歩き、夜遅くまで商店に明かりが灯り、射的を楽しむ若い客がいたことに鬼怒川温泉再生の姿を見た。
今回はイベントの「序章」ということなので、次回からどのように発展していくのか楽しみだ。
(トラベルニュースat 09年11月10日号)