部屋出しにクレーム
「なぜ、旅館の人がひっきりなしに部屋に入ってきて、料理を出すのですか。私たちは部屋でゆっくり料理を味わいたいのに」。ある料理の部屋出しにこだわる旅館で、こういったクレームが最近増えているのだという。加えて客から「ホテルでは誰も部屋に入ってこないのに」と決まり文句がつくのだそうだ。
この旅館の担当者によると「ホテルと旅館、旅館と民宿の区別がつかないお客様が多いような気がいたします」ということだが、旅館の屋号がA観光ホテル、B国際ホテルといった場合、シティホテルをイメージするようで、「ホテルの部屋でルームサービスをとるのに、なぜ何回も部屋に入ってくるの?」といった感覚なのかもしれない。ことあるごとに客には旅館の形態を説明するものの、旅館と民宿は同じ、という感覚を持つ人が増加傾向にある気がするという。
昭和40年代以降、旅館が大型化し、旅行会社も画一的な部屋づくりを求め出したのは、大量輸送の時代に突入するという背景はあるが、旅館と民宿の違いをハードで差別化しようとしたのではないか、と思えてくる。
いずれにしても昔も今も旅館とはどういったものなのか消費者に伝わっていないのだから、知ってもらう努力は続けなければならない。
(トラベルニュースat 09年11月25日号)