共通意識で突破口を
どの温泉地や観光地も集客に苦労している。正確には宿泊客の集客に苦戦しているといえるだろう。ある山の中にある温泉地ではハイキング姿の人や若いカップルで賑わっているので、ある旅館の主人に「賑わってますね」と言うと、「いやあ、皆、日帰りで泊まってくれないんです」と返ってきた。
また、この温泉地は都心部から近いということもあって、行きやすい環境を最大にアピールし、地域性を活かした企画やイベントを、これでもかというぐらい実施し、結構マスコミにも取り上げられる。冗談で「マスコミを手玉にとっているようですね」と、その主人に言ってしまうぐらい、情報発信がうまい。しかし、そこまでしても宿泊客増にはつながらないというのだから、観光や宿泊業界が置かれる状況は厳しい。
以前、やはり同じように農業や漁業関係者と一緒になって地域活性化を主体とした取り組みを行っている温泉地の旅館の主人も「いろいろ取り組んでもそう簡単に宿泊客が伸びるものではなく、一丸となって同じ目的に進んでいることが大事なんだ」と話していたことが印象に残っている。
同じ目線で共通意識を持ち、宿泊客を迎える準備を整えていくことに意義があり、それが突破口につながるという方程式だと知った。
(トラベルニュースat 10年2月10日号)