着地型に4万人が応募
JR東日本では昨年から、地元の人が考えて案内する旅行商品「旅市(たびいち)」を発売している。地域に根ざした風土や文化、地産地消、人とのふれあいがコンセプト。宿泊施設や昼食、ガイドなどすべて地元の人たちが「お客様に一番おすすめできる過ごし方を提案する旅」で、「旅市」には「人が集う市に新鮮な野菜が並ぶように、地元の人おすすめの観光素材を集めた」という意味が込められている。
いってみれば着地型旅行商品に属するものだが、昨年、関係者に話を聞くと「売れない」「商品の告知が思ったようにいかない」といった、どの着地型商品造成者と共通の悩みを持っておられるのを知った。
ところが、この1月にモニターツアーを行ったところ、10日間しか募集期間がなかったにもかかわらず、500人の定員に4万人を超える応募があったという。往復の交通費、宿泊、現地での体験・観光メニューを含めて1万円という破格の料金設定が参加者の心をつかんだとしても、驚くべき数字ではある。
近年人気がある「八戸前沖さば」を食べたり、津軽三味線を楽しんだりする地域らしさを盛り込んだほかにはない内容だったので、"破格値"と内容がうまく結びついたのかもしれないが、着地型旅行を考える上での試金石になるに違いない。
(トラベルニュースat 10年3月10日号)