「価値ある値頃感」の旅
2007年度から観光庁が取り組んできたニューツーリズム創出事業。多くの事業者がモニターツアーを行うなど新たな需要を生み出そうとしたが、大半が「集客」に苦戦していることがわかった(トラベルニュースat 2月25日号で既報)。集客以外の課題として(1)採算性(2)安定した受け入れ態勢(3)告知・販売手法などが挙がっており、なかなか思ったとおりには進まない姿が浮き彫りになった。
全旅協が11年前に口火を切って始めた着地型観光も、同様の課題を持っている。実際に「日常の仕事に追われ、採算がとれるかどうかわからないものに関わっておれない」「取り組んではみたものの、集客できないし、告知や販売手法がわからない」といった声をよく聞く。
しかし価値ある内容で値頃感のあるモニターツアーには、人が集まるのである。モニターツアーで集めても、通常のツアー化はできないとも言われるが、この「価値ある値頃感」という中に需要は隠れている。
「価値ある値頃感」のあるツアーで人を集めるのは、口で言うほど簡単にできるものではないと思う。今、NPO法人や観光協会など旅行業免許を持ったところが新しい需要を掘り起こすため着地型旅行商品づくりに取り組んでいるが、既存の旅行業もなんらかの形で新たな一歩を踏み出せないものか。
(トラベルニュースat 10年3月25日号)