手数料が経費扱いに
旅館経営者から「大手・中小を問わず旅行会社への手数料は経費なので削減し、自社で集客する努力をしなさい、と金融機関から指導されるのです」という声をよく聞く。
また、旅行会社よりネットエージェントの方が手数料も安く集客力もある、新たな救世主のように話す旅館経営者もいる。さらに、とにかく他者に頼らず直客を増やすことに専念する経営者も少なくない。
こういった状況について、ある旅館経営者は次のように言う。「自社で集客する努力は絶対に必要だが、旅行会社よりネットエージェントを重視するのはどうか。確かに手数料は安いかもしれない。しかし、ネット管理などで間違いなく自社の人件費は増えている。そう考えると、旅行会社の手数料は高いと思わない」。
旅行会社に販売や企画を丸投げという考え方はよくないが、販売や企画、客へのクレーム処理。そのための営業費が手数料といった形になっているだけで、その枠を外すとすべて旅館の自己責任になり、目に見えにくい経費になっていることを見逃してはいないだろうか。
金融機関の指導もどうかと思うが、旅行会社よりネットエージェント、ではなく旅行会社もネットエージェントも直販売も、というバランス感覚が求められている気がする。
(トラベルニュースat 10年4月10日号)