格安チェーンが主流?
このほど2009年度の全国入湯客数がまとめられたが(今号4、5面に掲載)、その中で「なぜ、この温泉地の宿泊客が増えているのか」と疑問を持ってしまうところは、日帰り入浴客施設の数字が新たに加わっていたり、格安旅館チェーンの進出によるところが多いようだ。
旅館業界はどちらかといえば、多額な設備投資をした旅館を安く買い取り7800円や8800円で販売する営業に批判的な立場を取っているし、旅館経営者も借金がご破算になって有名旅館が手に入り安い宿泊料金を設定されてはたまらない、と憤りをぶつける。
しかし、これまで異端的な存在だった格安旅館チェーンのあり方は、旅行客に支持され主流になる感がある。マスコミの報道が「旅館業界の救世主」といった取り上げ方をするのはどうかと思うが、マスコミが観光客の"支持率"を上げているのはまちがいない。
支持される理由としては、バイキングで自分の好きな料理をチョイスできる、宿泊料金が1万円までで年に何回も気軽に行ける、接客係が部屋に入って来ない、といったところだろうが、どれもある意味で旧来の旅館の否定と取れなくもない。ただ、ここにマーケットがあるのであれば、旅館も支持される内容を厳粛に受け止める姿勢は必要だ。
(トラベルニュースat 10年9月25日号)