旅館のサービス料とは
ある旅館経営者から「旅館でサービス料を取っていたのに、いつから取らなくなったのだろう。今の時代だからこそ、きちんとサービス料をいただいて旅館ならではの文化をお伝えすべきではないか」と言われた。
コンサルタントのS先生にお尋ねしたところ「昔の日観連名簿にはサービス料率の欄があり、15%というところもあったが大半は10%だった。今でも公務員共済組合の保養所などでは奉仕料としてサービス料をとっている」とのことだった。
多くの旅館がサービス料を廃止したのは「1989年に料飲税が特別地方消費税に名称変更し、それまで同税の非課税対象だったサービス料が課税対象になった」「エージェントのクーポン券面金額が手数料対象金額を増やすために徐々にサービス料込みにし、旅館にとってサービス料が有名無実になった」ことが原因だと指摘されている。
S先生はサービス料(奉仕料)が従業員個人に対するチップを制度化したものであり、本来であれば全額が従業員に還元されるべきだが実際は「旅館ホテルの営業収入」になってしまうことからサービス料是非論議になってきたとも言っておられた。宿泊料金の単価が下がる一方で、格安旅館ホテルとの違いを示す旅館の気概を示すものになるかどうか。皆さんはどう思われますか?
(トラベルニュースat 10年10月25日号)