"格安"が普通の時代に
ある報道によると年末の忘年会は、3千円以下に設定した居酒屋は繁盛したが、それ以外は需要がなかったという。
この報道に、ある識者は「消費者の所得主流が中流以下になったことを物語っている。そのように考えると旅館の料理料金を3千円、宿泊料金を5千円と設定し、8千円の宿泊料金は決して"低額"ではない」と指摘する。
もちろん、居酒屋や食事施設と旅館の設備投資や人件費諸々、同一には考えられないし、すべての旅館に当てはまるということでもない。ただ消費者のお金を使う感覚が前述したようになってきているということだ。
実際、高級旅館や特別な旅館は除いて一般的な旅館の場合、「1万2千円までの料金なら宿泊需要はある。しかしそれ以上になると需要が激減する」と話す旅館経営者は多い。その需要を狙って進出しているのが格安旅館チェーンだが、近いうちに「格安」とい冠が外れて常識の宿泊料金になるときが来るかもしれない。
今年は卯年。兎にかかわる諺の中に「株を守りて兎を待つ」というものがある。昔うまくいったやり方にこだわっていると、前に進まないという警告が込められているのだが、株を眺めるのを止めて新たな発想で新しい年を始めたい。
(トラベルニュースat 11年1月1日号)