新たな顧客づくりを
兵庫県有馬温泉で昨年8―9月、関西の4大学とコラボレーションして「有馬温泉ゆけむり大学」が開かれた。
4大学は大阪音楽大学、近畿大学、神戸芸術工科大学、武庫川女子大学で、期間中は毎日、各大学の学生50人が音楽やデザイン、スポーツなどをテーマに企画を展開。同温泉への観光客と温泉資源、人的交流など地域活性化を目的に行われた。
集客については今後の課題となったが、旅行をしない学生が増えている中で、学生に「有馬温泉」を身近な温泉地として認識させ、地域の人たちとふれあうことで親しみある関係をつくれたという点では、次世代の有馬温泉の宿泊客を育てることができたのではないか。温泉地が1つの大学と連携することは珍しくないが、4つの大学とコラボした例はあまり聞いたことがない。
かつて有馬温泉は阪神・淡路大震災で、それまで受け入れたことのなかった日帰り入浴とランチをセットにした商品を造り、新たな需要を生み出した。今回、有馬温泉を支える年配客を中心とした富裕層から、学生が社会人になって利用してもらえる新たな顧客づくりを行っているともいえる。それぞれの温泉地・観光地では地域性に基づいた次世代の顧客づくりをどのように行っているのか、見直してはどうだろう。
(トラベルニュースat 11年1月25日号)