旅行したくなる情報
若い人たちの旅行離れが叫ばれて久しい。また旅行会社を使わずネットで直予約するため、旅行会社の売上げは減少傾向であるという話も耳にタコができるくらい聞かされ続けてきた。しかし実際には、若い人たちは旅行に出かけ、旅行会社を頼りにしているという人も少なくない。
先日、ある大学生数人と意見交換する機会に恵まれた。学生らは「牛肉は食べたくないのに、なぜ旅館では牛肉を出すのか。鶏肉の方がいい」。この話を聞いて思ったのは、旅館は肉料理といえば牛肉と思いこんでいないかということだ。
旅行会社のパンフレットについても旅館単体の情報だけで、地域や周辺情報が載っておらず、旅行にでかけるイメージや「行こう」という気にならないという。彼らの発言を直訳すると、旅行に行きたくなる情報が載っていないことになる。
つい最近、京都のある旅館が大衆演劇の見学と食事のプランを販売した。当初は「南座がある京都で大衆演劇なんて」という声が強かったそうだが、営業部長が老人会や町内会を回り一人ずつ説得にあたったところ、最終的には4日間で約700人を集客した。いってみれば、この営業部長は「行きたくなる情報」を伝えたということになる。今、我々の業界に欠けているのは「旅行に行きたくなる情報」の提供ではないか。
(トラベルニュースat 11年2月25日号)