税制改正と旅館業界
旅館3団体は「固定資産税が経営を圧迫し、定期的なリニューアルができない。観光立国の底辺を支える旅館・ホテルの固定資産税の基準を抜本的に見直してほしい」と政府に要望してきた。
その結果、年末に閣議決定された「政府税制改正大綱」の中に「当該家屋の使用実態等を把握するとともに、家屋類型間の減価状況のバランスを考慮するための実態調査を行うなど、できるだけ速やかに検討を行う」と明記され、2012年度税制改正に向けて大きく前進した。
要は陳情が政府に理解され、宿泊施設の固定資産評価基準が実態と合っていないことを調査・実証し、12年度の税制改正でその実現を図っていきますよ、ということになったわけだ。
ところがである。肝心の旅館・ホテルへ送られたデータの回収が極めて悪いのだという。自分たち(旅館側)から固定資産税の基準を見直してほしいと要望しておきながら、政府がその実態調査に動き出すと協力しない、というのは非常に不細工な話で、今後どのような要望を出しても相手にされなくなる危険性がある。まとまって物事を進めることができない旅館業界、というレッテルを貼ってしまわれないよう、しっかりとデータを回収し税制改正が実現してほしい。
(トラベルニュースat 11年7月10日号)