5旅館の思いの違い
先日、温泉地のアドバイザーをやっている知人が「同じ旅館でも、なぜこれだけお客様を迎えようとする対応が違うのだろう」と嘆いていた。
あるイベントで5つの旅館から無料宿泊券を提供してもらうことになり、抽選会を開いて5人それぞれに宿泊券が当たった。
知人が手渡す前に封筒の中を確かめると、2軒は封筒の中に宿泊券だけを入れていた。ある2軒は宿泊券と旅館のパンフレットを入れ、残りの1軒は宿泊券とパンフレットに加えて、「当選、おめでとうございます。社員一同、お越しをお待ち申しあげております」と書いた手紙を添えていたというのである。
この5旅館は同じように地域活動を行い、誘客するにも手を組み5軒が連携して地域を盛り上げているのだが、ちょっとしたことでお客への対応の違いが出てきたので驚いた、とその知人は話していた。
この封筒を受け取った当選者は、たとえ宿泊券だけでも他の封筒にパンフレットや手紙が入っていることを知らないので、何も思わないかもしれない。
しかし、宿泊券だけしか入れることのできない宿は、お客がどのような思いで宿に泊まるかを「想像」できず、今、旅館に求められている「サプライズ」も「想像」できない宿であるといえるかもしれない。
(トラベルニュースat 12年3月25日号)