野花で接客の心を表現
ある宿泊関係の案内所の事務所では、来客の心を少しでも和まそうと毎日、来客用のテーブルに花を生けている。高価な花ではなく、ちょっとした一輪の野花のようなものが多いような気がするが、毎回伺ってその花を見るとホッとした気持ちになる。
先日伺った際、現地の旅館経営者が訪ねて来られていて「花を生けて来客をもてなそうとしている心をわからない旅館経営者に、宿泊客に喜んでいただけるサービスができるはずはない」と話していたが、その通りだと思った。
また、商談などが長引いた際には、30分ぐらいをメドにお茶の入れ替えが行われ、商談の"間"がうまく保たれる。そういった諸々の対応があって、ここの事務所の応接室での商談がスムーズに流れる感じがするのは筆者だけではないだろう。
人をもてなしたり、サービスを提供することが仕事である旅行会社や宿泊施設は、こういった人との関わりを大事にすることで、次の仕事につながっていくように思える。どちらかといえばパソコンや携帯の画面で仕事が優先される昨今だからこそ、ちょっとした気遣いが心に響く。
我々観光業従事者は、ことあるごとに人間関係が最優先といった言葉を発するが、今回紹介した案内所の対応は、今忘れつつある人の気持ちの原点を思い出せてくれた。
(トラベルニュースat 12年4月25日号)