安全あってのバス旅行
1903年(明治36年)3月、大阪で内国勧業博覧会が開催された。同博で梅田と天王寺を結ぶ旅客輸送の手段として臨時バス路線が開設され、これが公の場でバスがデビューした格好になる。
同年9月に京都の二井商会という会社が京都市内でバス営業を試みたものの営業中止の勧告を受け、11月になって正式に営業を始めた。日本バス協会ではこの二井商会がバス事業を行う際に実施した試運転の日、9月20日を日本最初のバス事業と位置づけ「バスの日」と定めている。
それから109年が経ち、旅行にバスはなくてはならない存在になった。
ゴールデンウイークの行楽シーズンに起こった関越自動車道ツアーバス事故。まだ全貌は明らかではないが連日、新たな事実が浮き彫りになっている。現在伝わってくるのはバス会社の杜撰さぶりばかりだが、本質のすべては「安全」を優先しているがどうかに尽きる。これはバス会社だけでなく、催行した旅行会社にも同じことが言える。
いずれにしても今回の事故を発端にバス会社だけでなく、旅行会社への規制もきつくなるのはまちがいない。バスの語源はラテン語で「すべての人のために」という意味の「オムニブス」からきているそうだが、バス旅行が「すべての人のために」安全であることを願ってやまない。
(トラベルニュースat 12年5月10日号)