百貨店の食堂街の今
先日、しばらく会っていなかった知人と再会し、大阪の老舗百貨店屋上に近い「食堂街」で会食した。百貨店の食堂街で会食、というのは先方の指示だったのだが「百貨店の食堂街で食事だなんて、何を食べるんだろう。もっと洒落た店はいくらでもあるだろうに」と、子どものころに行ったきりの大食堂で食べたお子様ランチぐらいのイメージしかない筆者は、どちらかといえば、場所の選定には満足していなかった。
しかし、待ち合わせの「食堂街」は繁盛店が軒を並べる大レストラン街で、筆者のイメージとはまったく違ったものだった。どこもかしこも行列で、関西人は「行列をしてまで飯は食わない」という定説を完全に覆していた。
こういったレストラン街は各地にあり、我々の観光業界での食に関する取り組みは遅れていることを実感した。食事の雰囲気、料理内容、料金のどれをとっても都市部の方が魅力的であり、わざわざ遠い観光地や温泉地へ行かなくてもいい、と思えてくる。
宿泊予約サイトを見ていると、特に平日の1泊朝食、1泊素泊まりで料金を下げて集客しようとしている宿が多く見受けられる。これは宿が都市部のレストランに「負け」を宣言していることにならないだろうか。
(トラベルニュースat 12年5月25日号)