地域住民と「よそもん」
地域住民では当たり前になっている風景や素材が、他地域の人から見るとすばらしい素材であったりし、いわゆる「よそもん」の視点の活用は大事だ。実際に観光地の魅力に魅かれ住みつき、地域づくりに貢献したことで観光地となって多くの人が訪れるようになった例もある。
ある島では、若い移住者が増えている。移住者のほとんどが島の活性化に役立ちたいという思いがあるようで、それはそれでいいのだが、移住者同士がフェイスブックなどでネットワークをつくり「我々でいい観光地をつくろう」といった動きになっているそうだ。
閉鎖的な島から開かれた島へということなのだろう。だが、「よそもん」が島の人たちを閉鎖的として位置づけ、その対抗軸になってしまっては、本末転倒もはなはだしい。
インターネットやフェイスブックで情報の収集や情報交換が簡単にできるようになり、本当の根っこの部分を知らずに「知ったかぶり」ができる時代になった。
別のある観光地では「よそもん」が店を開く際、1年間そこに住んで地域住民とうまくやっていけるかどうかを互いに確認しあってから、という条件があった。そこには両者の謙虚さを感じることができる。互いが土足で歩き回るような中に地域活性化などない。
(トラベルニュースat 12年9月10日号)