金太郎飴からの脱皮
全国の観光・温泉地では旅行客を呼び込もうと誘客合戦を繰り広げている。しかし、その中身をみると「ゆるキャラ」「戦国姫隊」「武将隊」「パワースポット」「女子旅」「ご当地バーガー・丼」といったように金太郎飴化していて、物足りなさを感じずにはいられない。
着地型観光にしても、その地域ならではの素材で旅行商品化といいつつ、どこもかしこもソバ打ち、農業体験、ウオーキングばかりが目につき「その地ならでは」なんてどこへやら、といった感じだ。
10年ほど前、熊本県の黒川温泉で湯めぐり手形が爆発的に売れると、どこの温泉地でも湯めぐり手形ばかりになったことを思うと、日本の観光・温泉地は進歩していない。何事も真似るところから始まるのだから、真似ることに関してとやかく言うつもりはないが、あまりにもストレートに真似過ぎではないか。
黒川温泉も野沢温泉や城崎温泉を視察して湯めぐりに目をつけ、思索したなかで自分たちの温泉街の特徴を活かすには湯めぐり手形がいいという結論に達し、取り組んだという。同じ先人の取り組みを真似するにしても、そこに知恵と工夫が入って、独自の文化を生み出している。
金太郎飴からの脱皮が今、一番観光客を呼び込める一里塚になるのではないだろうか。
(トラベルニュースat 13年2月25日号)