"R"を知らない添乗員
最近、旅行会社のトップが「現場を知らないからお客様が何を旅行会社に求めているのかがわからない。現場主義に徹したい」と話しておられるのを、よく耳にする。
ある刑事ドラマで「事件は会議室で起こっているんじゃない。現場で起こっているんだ」という名セリフが流行ったことがある。確かにその通りだと思う。観光地や旅館のことを知らない旅行会社なんて旅行会社ではない、といったら言い過ぎになるのかもしれないが本来の旅行会社というものは、あちらこちらのことをよく知っている世話役みたいな存在ではなかっただろうか。
それが効率を上げるために旅行商品を造る人、売る人、現場へ連れて行く人というように分かれてしまったために、現場を知らない人が増えてしまった。
先日、ある旅館の総務部長から「フロントに来て『クーポンって何ですか』『Rをもらってこいって言われたのですがRって何ですか』という添乗員が出てきました。旅行会社もクーポンやRのことさえ知らない人を現場に行かせる時代になってきたんですね」と聞かされ驚いたが、世話役どころか世話をされる側になってしまっている。
旅行会社=世話役=お節介焼きという原点に戻ってみると、何か活路が見出せるかもしれない。
(トラベルニュースat 13年5月10日号)