東京観光VS既存観光地
「今、観光客の流れはどのようになっていますか」。取材先から必ずといっていいほど聞かれる質問だ。開通時に比べて落ち着きを見せてはいるものの根強い九州や式年遷宮のある伊勢志摩、NHK大河ドラマや朝ドラの舞台諸々、既存の観光地への流れはあるものの、観光地へ足を運ぶ人だけを「観光客」で括れなくなっている。
既存の観光地から台頭してきているのが都市型観光で、開業から1年を迎えた東京スカイツリーには5千万人以上が訪れ、今年の大型連休期間中だけでも177万人に達したという。東京ディズニーリゾートの年間入場者数が2750万人なので、5千万人という東京スカイツリーの数字はディズニーの1・8倍になるという人気ぶりだ。
ある大手旅行会社の幹部は「今年度予算が達成できたのはスカイツリーがあったからです。その意味で送客の中心は東京で、他の観光地とは比べものにはなりません」と話す。
今や既存観光地同士の地域間競争ではなく、既存観光地と都市型観光、しいて言えば東京との競争といえるかもしれない。にもかかわらず、東京のモノマネで観光客を呼び込もうとする地域が少なくないのは残念だ。東京にはない地域らしさを前面にだした観光地でなくては、これから勝ち残ることはできない。
(トラベルニュースat 13年5月25日号)