「前向きな」新組織に
ある旅行業団体の総会終了間近に、出席者から「意見を言いたい」と手が挙がった。総会が終わろうとしている時の「意見」だっただけに、正直なところ混乱をきたすような発言なのではないか、と思った。
しかしその人は、会場の出席者に対して「今回の総会の役員改選で新たな理事が選ばれた。我々会員側は役員から事業や決算の報告を聞くわけだが、かつての理事経験者も少なからずいる。そういった人たちは会の運営がいかに大変であるかを知っているのだから、新理事を応援する方向で望みたい」と呼びかけ、新執行部にエールを送った。
これまで数多くの旅行業関連の総会の取材をしていて、このような前向きな発言を聞いたのは初めてに近い。それだけに一杯の清涼水を飲んだような気になった。総会なので不明瞭な点があれば質問するのは当然のことだが、どちらかといえば多くの旅行業関連の総会では重箱の隅を突っつき、執行部の失態を指摘する傾向の方が強かったように思える。
この4月から法人改革の一環で、全旅協各支部は解散し旅行業協会となり、新組織としてスタートした。本部直轄の支部、旅行業協会、事業会社に加え、協同組合と旅行業の組織が各道府県にできたわけだが、それぞれ「前向き」に進んでいってもらいたい。
(トラベルニュースat 13年6月25日号)