玉造温泉人気の背景
今、最も賑わっている観光地といえば東では東京スカイツリー開業以降の東京、9月に終了したNHKの朝の連続ドラマ「あまちゃん」の舞台・岩手県久慈市。西ではなんといっても式年遷宮で話題の出雲大社と伊勢神宮だろう。
そのなかでも出雲大社近くの玉造温泉の宿泊客数は、これまでにない伸びだという。島根県の観光関係者によると対前年比で6月は173%、7月は168%、8月は124%、人数では6月が5万9千人、7月は5万7千人で8月は6万6千人だったという。
観光関係者は「これまで長く観光の仕事をしてきたが、玉造温泉が過去、単月で宿泊人数が6万人を超えたという記憶がない」というほどの人気ぶりだ。ある旅館の大阪案内所所長は「瀬戸大橋が開通した当時、道後温泉の営業をしていたが、そのとき以上の忙しさだ」。
玉造温泉の宿泊客の多さは出雲大社の60年ごとに行われる遷宮が影響していることはまちがいないが、それよりも7年ほど前に16軒あった旅館のうち4軒が破たんし、そこから地域の魅力を掘り起こして現在があることを見過ごせない。今なら当たり前のように思える「縁結び」という鉱脈を見つけ、それにつながる様々な取り組みがあったからこそ、現在がある。それは遷宮終了後の玉造温泉が証明してくれることだろう。
(トラベルニュースat 13年10月10日号)