貸切バス新制度の問題
5月に入って全国旅行業協会各支部で総会が開かれているが、必ず話題に出るのが貸切バスの新たな運賃・料金制度の問題だ。
安全面を重視するための新運賃・新料金制度の導入には賛成、という意見がほとんどだが、「バス会社や旅行会社の現場の意見が盛り込まれず、突然の施行というやり方には納得がいかない。特に制度の内容があまりにも現実離れしていて、これでは中小旅行会社や遠方のバス会社に廃業を勧めているとしか思えない」という声が大半となっている。
消費者には何も広報をせず、渋滞などでバスの到着時間が延びた場合、当初収受していた運賃にプラスして客に請求できるのか、またそれを客が納得すると思うのか。遠距離にあるバス会社は集合場所までの距離、時間で都心部にあるバス会社と料金格差が出てしまい、その段階で競争に勝てない、といった現場ならでは意見も飛び交っている。
全旅協会員のなかには貸切バスに新運賃・新料金制度が施行されたことを知らない、もしくは理解できていない人も多い。消費者への周知も課題として残る。業界団体で「バスの安全運行のための新制度には理解するが、その内容についてはご一考願いたい」とする具体的な内容を盛り込んだ声を集約し、合理的な運賃制度を構築できないものか。
(トラベルニュースat 14年5月25日号)