再考・貸切バス新制度
前号のこの欄で貸切バスの新運賃・新料金制度について、旅行業界の戸惑いや憤りの声を紹介した。何人かの読者から、まさにその通りだという意見もいただいた。
そのあとも「バス事故の多くは低賃金、長時間労働などによる居眠り運転が大きな要因だ。低賃金、長時間労働が問題なのだから担当行政は国土交通省ではなく、厚生労働省ではないのか」といった声も聞いた。
その通りかもしれないが、先日開いた新制度の意見交換会で国交省の担当官は「関越道のバス事故のようなことを二度と起こさないための法律」と言い切り、どのように新制度を業界に守らせたらいいのかしか頭にない。
実際これから決まる法律ではなく、すでに決まった法律なのだから撤回、もしくは制度の変更はありえない。担当官の言い分は、ある意味当然だろう。反対運動を展開したところで始まらない。やるべきことは、新制度を広く消費者に伝えきる告知や制度内容の運用の仕方を業界側の考えに近いものにするための働きかけではないだろうか。
国交省が進める「旅行者の安全・安心の確保のための新制度を理解し、遂行するための運用を共に考える」といったスタンスが大事で、それを全旅協各支部から本部へ上げ、国交省へ伝えることが必要だ。
(トラベルニュースat 14年6月10日号)