諸問題には一点突破
急増する外国人観光客に対応するため旅館業法を大幅に緩和した国家戦略特区。訪日外客2千万人の実現に向けて東京や大阪、京都など大都市圏を中心に、マンションや一軒家での宿泊を可能にすることが目的だが、旅館ホテル関係者は「現在の宿の数で十分まかなえるし、日本人の宿泊がダメといっているわけではなく問題が多い」と指摘している(本紙8月25日号に既報「戦略なき特区に疑義アリ(1) 賃貸住宅で宿泊利用可能」)。
9月2日付の読売新聞によると特区指定を受けた関西圏(大阪府、京都府、兵庫県)など6地区のうち大阪府と市がいち早く条例制定に乗り出し、全国初の条例案を9月開会の府、市定例議会で提案するという。
大阪府旅館ホテル生活衛生同業組合の岡本厚理事長は「大阪府が条例制定に前向きなのはわかっていた。7日以上の宿泊に限るということだが、どうしても条例を制定するのなら外国人だけという縛りを入れてほしい」とし、全旅連本部と連携して陳情していく考えだ。
最近の傾向として旅館の耐震改修問題や貸切バスの新運賃制度など、トップダウンで施行せよとの通達が出されるケースが多い。国の動きをしっかりと監視していく必要があり、決まってしまった法律に対しては「ここだけは譲れない」ところを見極め、団結して一点突破する動きが大事だ。
(トラベルニュースat 14年9月10日号)