着地型旅行の時代へ
国内ツアーで宿泊地に早く着こうという考え方が広がりつつある。貸切バスの料金改定で時間料金が設定されたため、少しでも早く現地に入りバスの実送時間を減らすためだと思っていたが、それだけではなさそうだ。
お城を例にとってみると、お城に興味のある人は所要時間が1時間では足らないし、興味のない人からすると長すぎる。それならお城が宿泊地に近ければ早く宿に入り、興味のある人は2―3時間かけてお城を見ればいいし、そうでない人は温泉に入るなり、そのまちで興味のあることに触れればいい。
それでは旅行会社のツアーは味気ないものになるし、個人旅行と似たようなものになってしまうではないかと言う方もいるだろう。それならば旅行会社は着いてからのプランを考えればいいではないか。
申し訳ないが滋賀県のおごと温泉は、温泉街を散策するというような雰囲気ではない。しかし今春から、温泉地内にある港を出航し夕暮れの琵琶湖を楽しむクルーズを始めたら好評で、来春まで延長になった。
これと同じように、旅行会社は旅館や観光協会と組んで複数のコースづくりができないことはないだろう。いわば旅行者が着地型旅行を求め始めた段階に入ったと言っていいのかもしれない。
(トラベルニュースat 14年10月10日号)