地方観光の活性化へ
外国人観光客が1千万人を超えた一昨年あたりから、京都や大阪など都市に限らず各地で外国人の姿を見かけることが珍しくなくなった。1千万人に達していないころ、外国人観光客はチラホラといった感じでしかなかったように思うが、今では外国人がいない観光地の存在など考えにくい状況だ。
国が2006年に観光立国の実現に向けて観光立国推進基本計画を閣議決定し、08年に観光庁を設置し、約10年。訪日外国人客が少なすぎるとあって、あれやこれやと数字を追いかけて、ようやく一昨年に1千万人を達成し、昨年は1341万人と好調に推移している。
しかしこの間、国内では旅館の廃業や倒産が相次ぎ、旅行会社も苦戦を強いられてきた。インバウンドばかりにお金をかけるが、国内観光の振興にはまったく予算がつかず、どうなっているのだと、怒りの声を各地で聞いたこともあった。
外国人観光客が当たり前になってきた今、批判の的だったインバウンド一辺倒の予算の効果が見え始めたと言えなくはない。ただ、それは日本に呼ぶためだけの費用だった。今年度の観光庁の補正予算は前年度を大きく上回る42億円で、地方観光を重視した魅力創造事業などに充てられた。訪日後の満足度が高まり、地方観光の活性化を期待したい。
(トラベルニュースat 15年2月10日号)