手数(てかず)をかけて
旅館や昼食施設などの立ち寄り施設などが、送客で手数をかけたことに関して支払う金銭を手数料と呼ぶのは、観光業界で知らない人はいないだろう。
しかし近年、この手数料を単なる無駄な経費と捉え、旅行会社との取引を辞めるように促すコンサルタントが増えている。旅行会社と付き合って"無駄な経費"を支払うぐらいなら、自社ホームページで直客を取れというわけだ。小規模な旅館ならともかく、中規模、大規模旅館となると自社ホームページだけでは客室は埋まらず、旅行会社からの送客に頼らざるをえないのが実情だ。
自社ホームページやネットエージェントからの送客でトラブルが起こった場合や、天災などの事故があればすべて旅館の自己責任で対応しなければならない。しかし旅行会社経由だと、トラブルの仲裁や天災だからこそ支援のための集中送客をしてくれるので助かる、といわれてきた。
だからこそ以前は、手数料を"無駄な経費"という概念はなかった。旅行会社は手数料を「てすうりょう」と読まずに「てかずりょう」と呼んで、いかに手数をかけて送客しているかを訴えるべきではないか。手数(てかず)がかかっていないから手数料を"無駄な経費"といわれるようになっていないか、振り返る時期にきているように思える。
(トラベルニュースat 15年4月10日号)