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使用人ではなく社員

16/11/10

労働集約産業といわれる旅館が人手不足に陥っている。客があっても働く従業員がおらず、営業できない日も出ているというから深刻だ。人材募集を行っても応募がなく、雇用のハードルは高いものの働き手を外国人に求める状況になりつつある。

旅館団体ではこの問題に真摯に取り組む姿勢を示しているが、旅館の労働環境を改めることも同時並行的に必要だろう。ある旅館が都市圏に設けている営業所員は繁忙期に現地で、駐車場の案内誘導から宴会の後片付けなど、手数の足らない至るところで「何でも屋」の仕事を強いられる。それも2、3日ではなく1週間以上。その間、寝泊まりする部屋はお粗末で満足な食事も出ない。代休もない。手当てもなく賃金は安い。今は一人で複数の仕事をこなすのは当たり前だろうが、待遇面は前時代的。これでは人は続かない。それでいて人が集まらない、人が辞めると嘆くのは自業自得だ。

全業種の平均年収は400万円だが宿泊・飲食は320万円。この平均年収を確保するため様々な施策を打っている旅館経営者もいるし、定年を迎えても給料を下げず継続勤務を依頼する経営者もいる。「使用人」ではなく「社員」として人を扱う業種にしか人は集まらない。「社員」として扱う旅館経営者が増えることを望みたい。

(トラベルニュースat 16年11月10日号)

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