Y温泉A旅館の集客
貸切バスの運賃・料金改正でバスツアーが大幅に減ったY温泉のある旅館が、制度を逆手にとった集客策を行っている。バスの貸切料金が距離と時間の合算で算出されていることに着目、この旅館のA社長は「途中の立ち寄り施設様には申し訳ないのですが、1時間ほど早く温泉地に入ってもらえればバス料金は安くなり、運転手さんも楽」と考えた。
Y温泉一帯はジオパークに指定されており、A社長は自ら公認ガイドの資格を取得、社員31人にも資格を取らせた。早めに温泉地に入った貸切バス利用客やバスツアー客に温泉街の無料案内を始めた。A社長は「社員も地域の宝を知って、お客様を案内できるようになり一石二鳥です」。
今年1月から始め、現在まで約100組3500人の利用があった。A社長によると「TDLもUSJも半径400メートルで、行動心理学上ぶらぶら歩くには最適な距離。当温泉地も2つのテーマパークと同じ」だという。
Y温泉は各家庭がマイ泉源を持ち、温泉街の中心には洗濯場であり台所だった地域コミュニティの場が残る。そんな「温泉生活文化を1人でも多くの人に知ってほしい」というA社長は「温泉力こそ地域の財産」と明言する。逆境下だからこそ「足下を掘れ、そこに泉あり」だ。
(トラベルニュースat 16年11月25日号)