祖谷のおもてなし
都市部を訪れる外国人観光客の増加には目を見張るものがあるが、地域ならではの創意工夫を凝らす地方の観光地にも多くの外国人観光客が訪れるようになってきた。
徳島県西部の祖谷もそのひとつ。欧米人を中心に年々外国人観光客が増え、地元のお年寄りは「過疎化が進む山奥に青い目をした人が観光に訪れるなんて信じられない」と驚きの声があがる。3年前からは、地元の西祖谷中学校で「英語でおもてなし」の授業も始まっている。
生徒は14人しかいないが、外国人観光客へ自分たちで作った英語の観光マップを配布し、中学校のオリジナル缶バッチを販売、好評だという。授業を始めるきっかけをつくったK旅館では、生徒たちが客室で館内案内を英語で行っている。3年間の授業の成果として今年11月には、ツアーで訪れた外国人観光客を相手に、自分たちが住んでいる祖谷にまつわるクイズ大会を開催するまでになった。
地元の旅館が祖谷の子どもたちと一緒に行っている外国人観光客へのおもてなし。平家の落ち武者をはじめ古くからよそ者を迎え入れる歴史を持つ祖谷。日本の原風景に加え、現代の子どもたちにも連綿と受け継がれているおもてなしの心を求めて、祖谷を訪れる外国人観光客はまだまだ増えるに違いない。
(トラベルニュースat 16年12月10日号)