発想の転換で新時代を
これまで修学旅行の人気訪問地だった地方自治体が修学旅行の受入を控え、インバウンドの誘致に注力するのだという。インバウンドは国を挙げての取り組みであり、その流れに便乗しようということなのだろう。訪日外国人観光客の誘致に力を入れるのは理解できるが、数年先まで客が見込まれる修学旅行の誘致を控えるというのは、理解しがたい二者択一と言わざるを得ない。
これとは真逆に修学旅行の誘致に熱心に取り組み、十数年前はわずか数校だったのに今では約30校にまで発展している地方自治体がある。昨年からは、修学旅行で訪れた生徒から希望者を募り観光大使を依頼、20年間、博物館や入浴施設など公共施設は無料で利用できるようにしている。修学旅行をきっかけに、生徒たちをリピーターにしてしまおうというわけだ。観光大使に任命されると、その地域への興味は高まるし、将来に渡ってロイヤリティの高い顧客になる可能性は高い。
日本の人口が減っていくなかで、足らずの部分を海外にばかり頼るのではなく、何度も訪れてくれる日本人を育て、確保する手立てを考えることも重要だろう。修学旅行をどう捉えるか、2つの地方自治体の差は大きい。
新しい年は、柔軟な考えと発想の転換で時代の幕を開きたい。
(トラベルニュースat 17年1月1日号)