外国人目線の取り組み
先日、四国の自治体がアジア人留学生を対象にしたモニターツアーを行い、彼らに同行した。著名な観光地や特筆すべき施設があるまちではないが、彼らは皆この旅に満足したようだった。その理由を集約すると何も特別なことではない。空気がきれいで食が美味しく、何よりも田舎であることだった。
意見交換会で地元関係者が「うちのまちには何もないし、わざわざ来ようとは思わないでしょ」と話すと、はじめはどんな回答を求められているのか分からず答えに窮していたようだったが、自国の田舎と比較し、前述のように自分たちが感じたこのまちの魅力をとうとうと語った。
このやり取りを聞いていて、ある温泉地の観光協会の取り組みを思い出した。やっていることはいたって簡単。「日本人の目線ではなく、外国人の目線が大事」だとし、外国人向けのホームページには外国人が書き撮影した文章と写真を掲載している。フェイスブックなどSNSも活用し外国人目線で地域を発信してもらうことにもこだわる。
観光業界で今動向が最も注視されているインバウンド。だからと言って、必要以上に構えなくてもいいし、自分たちの目線だけで卑下することもない。彼らの方が郷に入っては郷に従い、地域を再発見できるチャンスなのかもしれない。
(トラベルニュースat 17年3月25日号)