人手不足の解消に向けて
最近、旅館関係者と顔を合わすと必ず話題になるのが人手の話だ。客があっても接客する人がいないからやむなく休館する宿もあるほどだ。
個人客中心の旅館は個々の対応が大変で、多くの客を受け入れる団体旅館の方が人手はいらないように思えるが、実際はその逆だという。個人客は一定の基準で接客すれば問題はないが、団体中心になると宴会の準備、料理を出すタイミング、旅行会社や団体の幹事との打ち合わせなど、様々に異なる対応をしなくてはならず、団体客に不慣れな接客をしてしまうとクレームに直結する。
「人手不足がもっと厳しくなると団体客を受け入れることができなくなる旅館も出てくる可能性がある。そうなると最も困るのは旅行会社ではないか。旅館の人手不足の問題は旅行業にも大きく影響する」と、ある旅館経営者は話す。人手不足は旅館業だけではなく旅行業を含む観光業全体の大きな問題だと警鐘を鳴らしている。
人材不足の前に「人手」が足らないのが、この問題の深刻さ。きちんとした対価がもらえないところの働き手は見つからない。旅館団体も深刻に受け止めており、外国人労働者の受け入れや労務管理の改善などを前向きに行おうとしている。すぐに成果が出るものではないが、観光業界の重要課題として取り組みたい。
(トラベルニュースat 17年5月25日号)