ふっこう割を考える
このたびの台風、地震で被災された皆様にお見舞い申しあげます。立て続けで大規模な災害に見舞われ、関西国際空港と新千歳空港の閉鎖は我々の業界に大きな影響を与えるのは間違いない。一刻も早く平穏な日常が戻ることを祈念してやまない。
それにしても、と思う。非常時が日常化しているような異常事態。ボディブローではない一撃を食らい続けているとも錯覚する。
そもそも、国が創設した支援策「ふっこう割」は、ダメージを受けた地域がカウンターを繰り出すためのものだ。一定の効果は間違いないのだが、ある種ドーピングのように地域の体力を奪う側面もあるようなのだ。大手旅行会社の経営幹部は「特例とはいえ客が一度安値を体験すると、通常の価格にさえ市場は拒否反応を示す。割引策を繰り返し処方しないと地域が持たなくなってしまう」と指摘する。
7月の西日本豪雨で、国は30億円を超す予算をつけて「ふっこう割」を決めた。単なる割引ではなく周遊という縛りをつけ、被災地を等しく回復させようとしているのは改善かもしれない。ただ、その過程で不穏な話を耳にした。ふっこう割の事務局の選定が水面下で決まったというのだ。対象となった11府県の委託事業者の公募日程の設定にその端緒があるという。引き続き調べたい。
(トラベルニュースat 18年9月10日号)
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