旅館が地元ツアー造成
旅館ホテルが旅行業の登録を取得するとなると、ほんの少し前までは大手旅行会社から送客を止められたり、協定先を外されたりしたものだ。在阪の営業所や案内所が企業や諸団体へ直接営業すると、中小旅行会社からクレームが入った時代もかつてはあった。
それが今では、旅館ホテルが単体もしくは複数の旅館で会社をつくり、着地型旅行商品を造成するのが珍しい時代ではなくなった。ユニークな商材であれば旅行会社がコースの中に組み込んで、その地域ならではの旅行商品として仕上げているケースも少なくない。
ある旅館では「旅行会社が造るツアーはいつも同じような内容で、目新しさがない。この土地にはもっと魅力ある素材はないのか」という宿泊客の声を受けて旅行業の取得に踏み切り、今では年間3千—4千人を集客するまでに至っている。
また、集客が落ち込んだ温泉地では旅館単独ではどうにもならず、宿同士が手を組み事業会社を設立、地域の特色を出したツアーを造成した。まずまずの集客につながったが赤字のため、土産物やブランド商品も開発し利益を出して地域の活性化につなげた。危機が迫ったなか知恵を絞り利潤に結びつく工夫を繰り出していく旅館。旅行会社にはどのように映っているのだろう。
(トラベルニュースat 18年11月10日号)
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