案内所不信論に思う
旅行サービス手配業が昨年合法化され、旅館の案内所の存在は50数年を経て、ようやく社会的に認知されるようになった。元々の案内所は、現地旅館の営業所として宿の魅力あるプランを旅行会社へセールスし宿への送客に尽力することで、営業面においては現地から一目置かれる存在だった。現地へ直接手配するより案内所の方が通信費も安かったという時代背景もあり重宝されてきた。
今も旅行業団体や個々の中小旅行会社は案内所との人間関係などを重視し、できる限り案内所を通して送客しようとしている動きがあるのは事実。ところが、旅行会社の送客力低下やネット予約の台頭などで、案内所は“絶滅危惧種”と言われるようになってきた。
そうした中で、案内所を重視している中小旅行会社から気になる声を頻繁に耳にする。「案内所は頼りにならない。現地と直接やりとりした方が仕事はスムーズ」「予約した日を間違える」「旅館のことを質問しても即答できない」「周辺観光地の新しい情報を知らない」「請書をなかなか送ってこない」などだ。
一部の案内所に限ってのことだろうが、その案内所の対応が案内所全体の不要論になりかねない状況だ。その危機感を案内所の人たちは肝に銘じ、現地にも旅行会社にも重宝される営業活動に励んでもらいたい。
(トラベルニュースat 19年6月10日号)
- ナイキの失速に学ぶ(24/11/15)
- インバウンドと富裕層(24/10/25)
- 「あまろっく」に思う(24/10/11)
- 「バスの日」に思う(24/09/26)
- 高付加価値化とは―(24/09/10)
- 臨時情報下の同調圧力(24/08/28)
- 百年先を見る道後温泉(24/07/26)