世界初の旅行業の破たん
世界最初の旅行代理店とされるトーマス・クックの破たんを9月末、世界のメディアが一斉に伝えた。情報によると同社の年間利用客は2200万人で、今回の破産による予約キャンセルは百万人と推定され、同社を利用して外国旅行中だった英国人は15万人にも上るという事態になった。この事態を重視した英国政府は国金を使ってチャーター機を飛ばし、旅行中の帰国難民を助ける「救出作戦」を実施するという騒ぎにまで広がった。
英国の旅行業界にも広く影響が波及していると思ったが、英国旅行業協会(ABTA)によると「衝撃はあったが、今回の破たんは企業固有の事情によるもの。英国の旅行需要が落ち込んでいるというものではない」と述べ、他の旅行会社には波及することはないと断言している。
このニュースを聞き「日本の旅行業もやがて同じ末路をたどるのではないか」と危機感を持った人がいるかもしれない。OTAの台頭、航空会社の包括運賃の改革など業界を取り巻く環境は厳しい。
しかし、今回のニュースで「企業の倒産や破たんは新しい時代を迎える新陳代謝になって、ちょうどいい」と発言していたエコノミストがいた。現場の一線で働いているものを愚弄した発言だろう。この発言に奮起し見返したい。
(トラベルニュースat 19年10月10日号)
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