旅行業と自治体の関係
コロナ禍で経営環境が厳しい宿泊施設や旅行会社を支援する「地元宿泊応援事業」に取り組む地方自治体が増えている。石川県旅行業協会(石旅協)のように事業の取りまとめ窓口になるなど、これまでにはない事例もある一方、地元の中小旅行会社を事業の“おまけ”のようにしか扱っていない自治体もある。
石旅協の窓口委託は、北陸新幹線金沢開業の際に石川県観光に多大な協力を行ってきた結果なので、“おまけ”扱いされる旅行業は、これまで自治体との信頼関係のネットワークを築いてこなかったという側面があることは否めない。
ある県の宿泊応援事業が大手旅行会社やOTA(オンライントラベルエージェント)が主体だったため、旅行業協会が「地元の旅行会社を地域住民が使いやすい施策を考えてほしい」と陳情した。すると担当者は「OTAの方が地元の人たちには使いやすい」と返答したそうだ。確かに、今はネット社会でありOTAの活用も大事だが、かといって知事が認可している地元旅行業を支援しないのはおかしい話だ。
地元旅行業からの提案を一緒に考えようとしないのは疑問だが、後ろ向きのことばかりを言っていても始まらない。ウィズコロナの今、各地方の旅行業界は自治体との新しい関係づくりを考え直してはどうだろう。
(トラベルニュースat 20年8月25日号)
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