今こそ三方よしの精神
4月25日号の本欄で書いたことが思った以上に反響があり、多くの電話をいただいた。
本欄では「『自らの利益のため』『地位と名誉に対する欲望』を持った人ではなく、コロナ禍と相対し組織団体や会員の現状を俯瞰しながら利他の精神を発揮する役員」の選出と書いたが、企業に置き換えると近江商人の経営哲学の一つとして広く知られる「三方よし」を挙げたい。
三方よしとは商売において売り手と買い手が満足するのは当然で、社会に貢献できてこそよい商売、ということであるのは、ご承知のとおり。観光業界では旅行業、宿泊業(受入施設、地域)がそれぞれ儲けにもなり、お客さんにも満足してもらえる商品、あるいは素材の提供、ということになるだろう。旅行業の一部では「旅行業を切り捨て宿泊業だけが儲けようとする動きが散見される」という声もあるようだが、三方よしで、このコロナ禍を生き抜こうとしている動きの方が多い、ということは強くお伝えしておきたい。
英語で三方よしはgood for everyoneやthree way satisfactionというそうだが、先日聞いた話だと、win win win philosophyという表現もあるそうだ。小欄は、この「ウインウインウイン フィロソフィー」を支持し、三方よしを改めて観光業界の哲学と提案したい。
(トラベルニュースat 21年5月10日号)
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